「WordPressは最新にしているから、ホームページの保守はできている」。更新を続けているのは大切なことです。ただ、WordPressの管理画面に更新通知がなくても、サーバーで動くPHPのサポートが切れている場合があります。
PHPは、WordPressのプログラムをサーバー上で動かすための言語です。WordPress本体を更新しても、通常はPHPまで一緒に更新されません。ホームページのメンテナンスでは、WordPressとPHPを分けて確認する必要があります。
WordPressとPHPでは、更新する対象も担当も違う
WordPress本体、テーマ、プラグインは、記事の管理や画面表示、問い合わせフォームなどを担います。PHPは、そのプログラムを実行する土台です。WordPress公式も、PHPの更新を本体やテーマ・プラグインの更新と同じく重要なものとして案内しています。
レンタルサーバーでは、利用できるPHPの種類や更新方法をサーバー会社が決めています。サイト管理者がバージョンを選ぶ場合も、サーバー会社が修正版を適用する場合もあります。「制作会社が見ているはず」「サーバー会社が直すはず」で終わらせず、PHPの対応状況を誰が確認するかまで決めておきたいところです。WordPress公式のPHP更新案内
PHPにもサポート期限がある
2026年10月23日時点で、PHP公式のサポート対象は8.2、8.3、8.4、8.5系です。8.2と8.3は重大なセキュリティ問題への修正を受ける期間にあり、8.4と8.5は通常の不具合修正も受けられます。PHP 8.1以前は公式サポートが終了しています。
「サイトが表示できること」と「今後も修正が提供されること」は別です。また、PHP 8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日まで。現在サポート範囲内でも、期限に近づいたら移行を準備する必要があります。PHP公式のサポート期限・サポート終了バージョン一覧
今回の脆弱性で分かれた、修正版への道筋
2026年10月21日にPHP公式が公表した重大な脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)は、PHP 8.2.35、8.3.36、8.4.27、8.5.12で修正されました。WordPressが最新でも、利用中のPHPに必要な修正が入っていなければ、PHP側の問題は残ります。JPCERT/CCの注意喚起
一方、PHP 8.1以前は公式の通常更新を受けられません。今回は深刻さを考慮し、7.4、8.0、8.1向けに最小限の修正を古いソースへ移す「バックポート」が例外的に提供されました。ただし、公式サポートが再開したわけではありません。OSや長期サポートの提供元による修正もあるため、バージョン番号だけで判断せず、契約先の案内を確認する必要があります。PHP公式のセキュリティ告知
古いPHPでは、修正を誰が提供するか、その修正を利用できるか、サポート中のPHPへ移すべきかという確認が増えます。日頃からサポート範囲内のPHPを使っていれば、同じ系統の修正版への更新と動作確認に集中しやすくなります。サーバー会社での提供時期や適用作業は別途必要ですが、緊急時に大きな移行から始めずに済む点は重要です。
PHPだけを急に上げると、動かない機能が出ることも
「では、PHPだけ新しくすればよい」とも限りません。長くメンテナンスしていないテーマやプラグイン、独自に追加したプログラムが、新しいPHPに対応していない場合があります。PHP 7系から8系への移行などでは、以前の書き方が使えなくなる互換性の変更があります。PHP公式の互換性変更一覧
その影響で、サイトが真っ白になる、問い合わせを送信できない、管理画面でエラーになるといった不具合が起きる可能性があります。同じ8.3系の修正版へ更新する作業と、7.4から8.3へ移行する作業では、確認する範囲が違います。どちらも動作確認は必要ですが、何年分もの変更をまとめて受け止める移行ほど、事前の点検が重要です。
ホームページ保守は、次の更新をできる状態にしておくこと
日常のメンテナンスでは、WordPressの更新に加え、PHPのバージョンと期限、テーマやプラグインの対応状況を確認します。更新が止まった機能は代替を検討し、バックアップと復元方法を確保したうえで、検証環境で主要な操作を試しておきます。
問い合わせの送信、予約、購入など、事業に必要な機能まで確認できれば、緊急更新で何を試すべきかも明確になります。PHPを長期間更新していないシステムでは、改修や動作確認、担当者や資料の不足が対策を難しくする点をIPAも指摘しています。IPAの脆弱性対策案内
WordPressを最新に保つことに加えて、PHPも無理なく更新できる状態を保つ。ホームページ保守は、脆弱性が公表されてからの対応を早めるための準備でもあります。PHPのサポート状況や更新の担当範囲が分からない場合は、サービスの対応範囲・料金をご確認ください。
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